do you love me ?

「私が他の女の話をしたら妬けるかね?」
彼の言葉に多少の苛つきを感じつつ、不自然にならない程度に息を整える。
「……何を今更くだらない。さんざんしてるじゃないですか」
呆れたように答えてやる。
「だから妬いてるのかな、と思って」
妬く、と思って意図的にしてるとしたら、この男かなりヤな男だわ。

「何ですかそれは」
「君あんまり顔に出さないからね」
だからってそれは今聞くことか、と問いたくもなる。
よりにもよってこの状況で。
貴方の下にいる今の私に。

だが、何だかいつもと様子が違う気がして、瞑っていた瞳を開けた。
それまで私を見ていたはずの視線が、かち合う前に逸らされた。
何なのかしら、その拗ねたような不機嫌な顔。
私のナカってそんなに良くない?

聞いてみたい気もしたけど、彼の不機嫌な顔の原因にも何となく気づいている自分がいる。
――もしかして、と思い当たって、だけどまさかとも考える。
ふと彼の頬に手を伸ばした。視線を私に向けさせる。
こんな行為、いつもは貴方が私にすること。

「妬いてるんですか、さっきのこと」

繋がった場所からピクッと彼の体の揺れが伝わる。
止まった状態からの刺激にあがりそうになる声をどうにか堪え、漆黒の瞳を覗き込んだ。

「…………」

『――無言は肯定という意味かな?』
いつも貴方がいう台詞が不意に頭に浮かんできた。

ちょっと笑える同僚の失敗談を、貴方に伝えただけなのに。
第一貴方も笑ってたじゃない。
まさかとは思うんだけど、本当にまさか。

内心面白くなかったとか――?

何だか無性に可笑しくなって、口元が緩む。
大体こんなときにそんなこと思い出さなくてもいいでしょうに。

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