もしもシリーズ <1,ホークアイ中尉がテレビっ子だったら> 「中尉、今日夕食でもどうだ」 「今日…ですか」 「何か予定でも?」 「すみませんがお断りします。先約が詰まっていますので」 「……誰とだね(まさかハボックか!?)」 「まる見えの日です」 「まる……っ!ではその後からでも、」 「キスイヤです」 「…………(このテレビっ子めッ)」 ギリギリまで粘ってみたが、言い出したら聞かない彼女に提案して、彼女の家でテレビ鑑賞デートで妥協。 テレビの前で爆笑する彼女が拝めるのも自分の特権だと思えば、ちょっとはおそらくたぶんきっと報われる……はずだ。 と思ったら、食事してハヤテ号の散歩に行ってシャワー浴びて……って君。 テレビ見てない気がするんですけど。 <2,ホークアイ中尉が我慢できなかったら> いつもの調子でノックもせずに扉にてをかければ、滅多にない麗しの上官殿の高い声。 「……たい、さ」 「まだだよ」 「お願いですから早くして下さい…ッ」 静かに声を抑えてはいるが、切羽詰った女の声が腹に響く。 恥じらいを含んだ懇願の響きに、しかし腹黒い黒髪の上官は、苦笑を滲ませた声音で応じた。 「そんなこと言われてもね…私だって随分我慢したんだ」 「そんなこと言わないでくださ、」 「もう少し」 これは本気で我慢してる男の声なんかじゃあない。 少しからかい気味に「忍耐だよ」なんていけしゃあしゃあと言ってのけた男の台詞に、 金髪の彼女が「大佐……ッ」と小さく叫ぶ声が聞こえる。ああ珍しい。 中尉ってこんな子供っぽい声も出すんだな。 二人の声だけで、余計なものまで出そうになってる自身を必死で押さえつけ、ここから離れて別へ行くべきだと 俺の勘が警鐘を鳴らす。 それでも悲しいかな俺のあんよがもうちょっとなんて言いやがる。 「――もう、限界…なんです」 「珍しいな。君がそんなこと言うなんて」 「だから早く――」 女のおねだりは往々にして可愛いもんだと相場は決まってる。 しかも行為の最中にされるおねだりほど、男の情欲を掻き立てるものは無いだろう。 それがいつもストイックな雰囲気に身を委ねている彼女ならなおさら―― だけど! ここでヤッちゃうってのは、やっぱすんげえマズくねえか!? 「(――――大佐と中尉!?何やってんだ!?)」 てかマジっスか。 ここは彼らを補佐する有能な部下として、ウェルダンになるの覚悟で止めるべきだろうと思う。 続きは是非とも聞きた、いやいや、是非帰宅後にお楽しみ下さいってな。 ドアノブに置かれた自分の手を叱咤して、思い切りよく回して押す―― 「出て下さい!トイレ!!」 「もーちょっとー」 …………軍部のトイレ、男女別がいいと思う人手えあげろ。 |