聞かせない言葉




敬愛も尊敬も恋も愛も、それから羨望と少しの嫉妬も、誰かに向ける熱情の全て。
それがあの人に抱いたもので、私が感じていた全部。
絶対に気持ちを伝えたかったわけじゃない。
伝えていれば、と思うことがなかったとまでは言えないけれど、
毎日必死で、それどころじゃなかたというのも勿論あるし。

それにあなたは。

こうして誰もが物言わぬ骸になってしまっても、
それでも私達の生きていた証を残そうとしてくれる人だから。
死に行くものの手を取って、その意志が自分の力になるのだと言ってくれる人だから。
強くて、潔癖で、少し横暴で、言動は粗野で、
それでも人類の希望であることを背負ってくれる、優しすぎる人だから。

この想いが受け入れられてもそうでなくても、結局最後がこうなるのなら、
これ以上の重荷には、私はやっぱりなりたくない。

だから良かった。
言わなくて良かった。

少しでも、過去の、そしてこれからの彼の班員の一人として、
人類の存続の為の礎となった部下がいたのだと思ってくれていればそれでいい。
あなたが言っていたとおり、悔いの残らない選択が出来た。

だけど少し――本当にほんのちょっとだけ。
後悔と呼べる程のものではないけれど。
最期の最期に独り言として少しだけ。




あなたの事が、好きでした。



【END】


アニメ22話が衝撃過ぎて。




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